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商品開発ストーリー

商品開発に終わりはない。リニューアルし続けるマヌカハニー+カモミールスプレー開発ストーリー

商品開発に終わりはない。リニューアルし続けるマヌカハニー+カモミールスプレー開発ストーリー

オーガニックケアブランド『made of Organics』の『マヌカハニー+カモミールスプレー 』シリーズ。2016年にリリース後、原料の大幅なアップデートやノンアルコール版の開発など、わずか4年で2度のリニューアルを実現しました。

「マイナーチェンジのリニューアルは一切しない」という方針のもと、開発チームの中ではどんなやりとりがあったのか。開発メンバーの高倉・久保田・小室(ニックネーム:コム)に、たかくら新産業のスタッフですら全貌を知らないという開発話を聞きました。

オーガニックケアブランドがつくる食品

━━そもそもなぜオーガニック食品で開発しようと思ったんですか?

高倉:公私ともに仲がいい方との食事中に「何か欲しいものはないですか?」と聞いたら、「オーガニックのケアスプレーがほしい」と言われたんです。ケミカルなものを子どもに飲ませたくないと。それが開発のきっかけでしたね。

ケアスプレーは100%飲み込んでしまうもの。安心で問題ないと感覚的に一番納得できるものは何だろうと考えました。仮にケミカルなもので安全ですと言われても、嫌だと思う気持ちは拭えないじゃないですか。オーガニックの食品であれば、老若男女どんな方でも不安に感じることはないのではと。そこで有機JAS認定の食品として開発することにしました。ここからは、久保田さんがものすごく大変でしたね。

久保田:これまで主に化粧品の開発が中心で食品はやったことがなかったので、何から始めたらいいんだろうと思いました。今世の中にあるものを仕入れるわけでもなく、手探り状態でしたね。

高倉:当時からお付き合いしていたオーストラリアの工場では、そもそも食品をつくっていなかったんですよ。だから食品をつくってもらうことから始めないといけないし、僕たちも有機JAS認証を取ったことがない状態でした。その工場はかれこれ10年くらい、僕たちの突拍子もないアイデアを何度も形にしてくれて、それがしっかりと売れることも経験している。その信頼や実績があったからこそ、化粧品会社がオーガニック食品をつくるという新しいチャレンジにも、前向きに取り組んでくれたんだと思います。

久保田:それは大事なポイントですよね。我々がつくりたいと思っても、つくり手が理解してくれなければ、つくれないですから。僕たちの提案を面白いと思ってチャレンジしてくれるパートナーがいたから実現した話だと思いますね。

写真|左:開発担当の小室、右:代表取締役であり開発企画担当の高倉

高倉:たしか有機JAS認定を取ろうと最初に言ったのはコムだったよね? 

小室(コム):そうでしたね。当時妊娠していたので一般的にケアスプレーに入っているヨウ素を入れないようにしたり、私自身健康に気をつかっていることもあって、極力いいものにしたかったんです。初めてのことでしたけど、工場の方々も有機JAS認定を取れるように講習を受けてくださったり、私たちも認定のための勉強会に行ったりしましたね。

━━認定は順調に取れたんですか?

久保田:正直に言うと、もう何度もダメになりそうなことがありました。でもみんなブレなかったというか、なんとかして世の中に出すんだと。それを信じてやっていたら、だんだん道が開けてきて。

高倉:『made of Organics』ではACO(Australian Certified Organic)という、世界でもっとも厳しいオーガニック基準の1つであるオーストラリアの認定を取っているんです。ただ、日本の有機JASにはACOとは違うルールがあったり、国の認証の仕組みの関係などから、何度も大変なことがありました。

ずっと綱渡りが続いて、実現の可能性としては1〜2%しかない状態。1%の可能性の糸を2%にする人を見つけて、またそこから小さな糸を手繰り寄せて…。その繰り返しの結果、なんとか実現できたんです。結局開発に4年くらいかかりましたね。

世界中のいい原料を常にリサーチし続ける

━━マヌカハニー+カモミールスプレーにはたくさんの有用成分が入っていますが、どうやって見つけるんですか?

高倉:開発メンバーがそれぞれ見つけてくるんですけど、僕たちはユニークでまだ知られていなくて、エビデンスのある原料を世界中で常に探しているんです。レザーウッドハニーもオーストラリアのタスマニア島のもので、久保田さんと実際に現地に行って、交渉を重ねて扱わせてもらえたんです。これはどうやって見つけたんだっけ?

久保田:開発する5年くらい前に、レザーウッドハニーを扱っている会社さんが展示会に出ていたんですよ。おもしろいハチミツだったので、名刺交換をしてときどき連絡を取り合っていて。何かの折に高倉さんにその話をしたら、現地に行ってみたいと言われて。

それで一緒に行ってみると、まあすごい場所で。映像でもある程度伝わると思うんですけど、秘境そのものでした。何度もゲートをくぐった先に巣箱をおいてハチミツを取っていて。食べてもおいしかったですし、何よりその希少性に惚れ込みました。最近はこういうご時世なので中々視察に行けないですけど、毎年高倉さんと一緒に世界各地を回っていろんな原料を見てきた中で選んでいるので、ベストの中のベストだと思いますね。

写真|レザーウッドハニーの採蜜

高倉:レザーウッドハニーには優れた抗菌力*1があることは、視察したときから知っていたので、これを入れようと。オーガニック食品だからといって効果がないものは絶対つくりたくないので、とにかくいい成分を徹底的にリサーチしました。

*1 抗菌は商品に対する効果

日本ではなくオーストラリアでつくる理由

━━国内ではなくオーストラリアでつくる理由はどんなところにあるのでしょうか。

高倉:世界のオーガニック農地の半分があると言われるオーストラリアは、オーガニック原料が豊かなんです。日本ではオーガニックのブランドを始めたいと思っても、国内だけでは原料が調達できません。さらに、僕たちの求める水準でつくれる工場や開発を経験した人を探すとなると、ほとんど見つからないのが実情です。

“made in Japan”のよさは理解しつつも、常に考えるのはお客様にとって何が一番ベストなのか。極端な話、中国でつくることがお客様にとってベストなら、中国でつくります。だから僕たちもブランドによっては日本でつくっています。この商品に関しては久保田さんが現地にいて、僕たちの希望に応えてくれる工場があることもすごく大事です。常に新しいことにトライしているので、おもしろいと思ってくれる仲間がオーストラリアにいることは大きな理由の1つになっています。

小室:日本でもオーガニックの化粧品は増えてきていますが、国内の工場だと日本クオリティにはなるんですけど、どうしても価格が高くなってしまうのと、原料や製造方法に対する考え方や取り組みが全然違うんですよ。だから、日本の工場でmade of Organicsの商品をつくろうとしても、できないと思います。

━━どんな違いがあるんですか?

高倉:僕たちにとっては原料の裏側にある情報がすごく大事なんです。溶媒は何なのか、何を使って抽出しているのかとか。でも日本ではそういった裏側のことは表に出す必要はないんですよね。法律で定められていないから。安全かどうか詳しいことはわからないけれど、使っていいと考えている工場もまだたくさんあります。

でも僕たちはこれまでずっとACOという世界で一番厳しいオーガニック基準でものづくりをしてきたので、表記の裏側にあることまでずっと徹底して対応していたんです。だから、同じ原料で同じ方法で日本でつくったものと、僕たちがオーストラリアでつくったものが並んでいたとしても、クリーンな要素が全然違うんですよ。やっぱりオーストラリアはオーガニック先進国なだけあって、そうした基準や意識の高さを踏まえると、日本ではまだまだつくるのが難しいと感じます。

小室:成分一つひとつの後ろに隠れているキャリーオーバー*2、特に原料自体の保存料や溶媒の成分や情報は、毎回久保田さんも細かくチェックしていますもんね。特にmade of Organicsでは細心の注意を払って開発を進めています。

*2 原材料の加工の際に使用されるが、その原材料を用いて製造される食品には使用されず、その食品中には原材料から持ち越された添加物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていないもの。食品添加物の表示を省略することができる。(出典:厚生労働省

商品開発に“完成”はない

━━2016年のリリース後、2回リニューアルしています。どんなきっかけがあったんですか?

高倉:1つ目はカミツレとの出会いですね。長野県のカミツレ研究所が運営しているビオホテル『八寿恵荘』に泊まったときに、自家栽培のカモミールの素晴らしさを聞き感銘を受けたんです。僕たちもカモミールの成分は使っていたんですが、このカモミールだったらもっと進化させられると思いました。

ただ、ここのカモミールは門外不出だったんです。基本的に他社には一切出さないルール。何度もお願いをしたんですが、「ありがたいですけど、難しいです」とお断りをされてしまって。それでもどうしても諦めきれなくて、開発にかける想いや単に原料の受発注の関係だけではないパートナーシップを望んでいることを繰り返しお伝えしたところ、使わせていただけることになったんです。そこでこのカモミールはもちろん、それ以外の成分もバージョンアップさせたのが1回目の進化です。

写真|カミツレの里 八寿恵荘

2つ目の進化は、お客様からの声がきっかけでした。このスプレーにはアルコールが入っていて、お子さんや妊婦さんにも使っていただける量ではあるんですけど、センシティブな方からは「アルコールを入れないでできせんか」とお声をいただいたんです。そこでノンアルコールスプレーをつくろうと。ただ、これがまた大変だったんですよ。

この商品でちゃんと効果があるものとして取りたかったエビデンスが、ノンアルコールで取れるのか。それ次第で商品価値が全然違ってくるので、コムと何回も試験をしましたね。

小室(コム):そうでしたね。最初の試験ではアルコールでカバーしていた防腐効果を保てず、ダメでしたもんね。ノンアルコールだとやっぱり無理なのかなとしばらく途方にくれていました。その後リサーチを重ねて、シイタケから抽出した成分を入れて調整したところ、無事結果が出たんですよ。

高倉:第三者機関で調査データを取得するのって、すごいお金かかるんですよ。しかも結果が出なければ、無駄になってしまう。だから結果が出たのは最高に嬉しかったですね。

久保田:本当にいいものしか入っていないので、それぞれ成分の相乗効果としての結果ですよね。シイタケの成分作用もあると思いますけど、逆に作用のないものは入っていないので。

高倉:ノンアルコール版は有機JAS認定を取れていないんですよね。理由は新しく入れたシイタケが、ACOや有機JAS認定を取っていなかったから。シイタケを除けば有機JAS認定は取れるんですけど、シイタケを入れず効果データが取れないのは違うなと思ったんです。だからノンアルコール版では有機JAS認定を取ることよりも、有効性の高い原料を入れる判断をしました。

できると思ったら、できる。開発メンバーの誇り

━━日頃から開発チーム内ではコミュニケーションをよく取ってるんですか?

久保田:ええもう。小室さんとは毎日のように。

小室:入社して13年目なんですけど、誰よりも久保田さんと電話している気がします(笑)。商品開発に関するマニアックなことを教えていただいたり、オーストラリアや業界のいろんなニュースを教えていただいたりとか。

久保田:もちろん仕事の話がメインなんですけど、ちょっとしたプライベートな話の中で生まれる発想もたくさんありますね。

高倉:久保田さんとの付き合いはすごく長いんですけど、久保田さんほど1を伝えて10まで理解してくれる人っていないんですよね。僕の発想って突拍子もないことが多いので、なかなか全部を理解してもらうのは大変なんですけど、「おもしろさ」の感覚が僕と久保田さんではすごく近いんです。

だから一緒に出張に行くと、もうね、すごいテンション上がるんですよ(笑)。おもしろいものを見つけると、二人で「これはあの商品にも使えそうじゃない?」と妄想がどんどん広がってね。その妄想を確実に着地させてくれるのが久保田さん。すごく楽しいんですよね。

写真|現地スタッフの皆さんとのランチミーティング。左:オーストラリア在住で現地工場のディレクション担当の久保田

━━逆に久保田さんと小室さんからみて、高倉さんはどんな人なんですか?

久保田:いやあ、高倉さんはすごくオープンマインドな人だと思いますよ。高倉さんは僕が突拍子もないアイデアを理解してくれるというけれど、逆に僕らの突拍子もないアイデアを受け止めてくれる器がある。だからやっていておもしろいです。そもそも最初にお会いしたときに、オーストラリアのオーガニック事情の話を一番面白がってくれたのは、高倉さんでしたからね。

あとすごく助かるのが、ブレないこと。マヌカハニー+カモミールスプレーでも何度かもう無理だという瞬間があったんですけど、「大丈夫だ」と言ってくれる高倉さんがいたからこそ実現できたと思うんです。「やっぱり無理か」と言われてしまうと、そこで開発は終わってしまうじゃないですか。何年も商品開発をしていて思うのは、できると思ったらできるんですよ。絶対にできると決めていれば、なんらか方法が見つかってくる。それは自分の人生の中でも、いい勉強になっています。

小室:たしかに。すごい学びましたね。もちろんプレッシャーを感じることもありますが(笑)、高倉さんはちゃんと話せば理解してくれるし、だったらこういうのを探してみたらといったアドバイスももらえる。久保田さんとも開発中によく「どうにかなる!」と話していて、結果的にも時間かかることもありますが、ちゃんと進むことができています。

未来の子どもたちに、よりよいものを

━━高倉さんはあくなき探究心でずっと取り組まれていますが、久保田さんと小室さんは開発に終わりがなく進化し続けていくことをどう思っているんですか?

小室:そうですね、だいぶ慣れました(笑)。入社当初は混乱の連続でしたが、先を予測したり、動向を読めるようになりました。社長のジャストアイディアは突発すぎると思うこともありますが、ある意味先を行っていて、そのアイディアを現在のマーケットにあわせてマーケティングしている感じです。

久保田:開発に終わりがなく追求していくからこそ、さらに研ぎ澄まされたクオリティのものができると思うんです。すでにいいものだから現状維持でいいという考え方もありますが、やっぱりハイクオリティのものをつくる上では探究心は必要なんじゃないですかね。あとは単純に今の段階でもかなりいいものが、さらにグレードアップすればお客様もきっと喜んでくれますよね。それは大事なポイントだと思います。

小室:仕事としてはちゃぶ台返しとか日々あって、すごく大変なことが多いんですけど。自然と生活の中でも新しい原料ないかなと買い物をするときに裏面を見たり、流行っているものが何かチェックしたりするんですよね。たかくら新産業がつくっているものは、オーガニックだったり環境にいいものだったりするので、今の時代にあった進化できるかは個人的にもやりがいにつながっています。

高倉:意味のない進化はやりたくないんですよ。マイナーチェンジをして新商品を出すことはしないと決めています。お客様に喜んでもらえるかどうかが最大の目的なので、進化した商品でそれが実現できるかが大事なんです。

久保田:あとは単純に自分たちが使いたいものかどうかですよね。僕の子どもはこのスプレーが大好きで。先日びっくりしたのが、朝ごはんのシリアルに自分でシュッシュとかけていたんですよ。

小室:久保田さんのお子さん、よくスプレー舐めていますよね(笑)。私の子どもも冬場帰宅すると、シュッとしています。

写真|元気な体を守りたいこの季節に。マヌカハニー+カモミールシリーズが特許取得

久保田:あとは子どもって正直だなと思いましたね。やっぱりいいものだから、もっと欲しがったり使いたがったりするんですよ。よくないものは、すぐ食べなくなるので。そういう意味でも、本当にいいものをつくれたなと思います。

高倉:二人とも子どもが産まれて、商品開発に対する向き合い方が進化したんじゃないかな? 特に子どもにも使ってもらいたいという気持ちが、ずいぶん変わったと思います。

久保田:おっしゃる通り、違いますね。

小室:そうですね。やっぱり子どものことを考えちゃいますよ。自分の子どもを含め、次の世代に何か残せることは嬉しいですね。これからも、未来に残るいいものをつくっていきたいです。

聞き手・構成・執筆:中楯知宏

    

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